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共謀罪の何が問題なのか問題点と内容をわかりやすく。治安維持法との違いと有識者の意見。本当に恐ろしいのは今ではない!【テロ等準備罪に賛成か、反対か?皆の意見】

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成立が確定した「共謀罪」ことテロ等準備罪。

成立の論法は、かつての治安維持法の答弁とほぼ同じだから驚きだ。

本日2017年6月15日に参議院本会議にて「共謀罪」が賛成多数で成立しました。

 施行は7月11日からだそうです。

本当に必要なのか。

何が恐ろしいのか。

共謀罪について分かりやすく徹底的に解明してみたいと思います。

 

共謀罪が成立するとどうなるのか、

賛成派と反対派の意見、

かつての治安維持法との違い、

アメリカやイギリスなど諸外国ではどうなっているのか、

 

など、気になる疑問も徹底解説します。

 

1共謀罪こと「テロ等準備罪」とは?分かりやすく

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出典:毎日新聞

分かりやすい図解があったので引用します。

まずは政府が提出している「共謀罪」の内容がこちら。

 

組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案【2017年3月21日提出の政府案】
(テロリズム集団その他の組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う重大犯罪遂行の計画)


第六条の二 次の各号に掲げる罪に当たる行為で、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団(団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が別表第三に掲げる罪を実行することにあるものをいう。次項において同じ。)の団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を二人以上で計画した者は、その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは、当該各号に定める刑に処する。ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。


一 別表第四に掲げる罪のうち、極刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮の刑が定められているもの 五年以下の懲役又は禁錮


二 別表第四に掲げる罪のうち、長期四年以上十年以下の懲役又は禁錮の刑が定められているもの 二年以下の懲役又は禁錮


2 前項各号に掲げる罪に当たる行為で、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団に不正権益を得させ、又はテロリズム集団その他の組織的犯罪集団の不正権益を維持し、若しくは拡大する目的で行われるものの遂行を二人以上で計画した者も、その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは、同項と同様とする。

 

これだけだと分かりにくいと思いますので、以下に分かりやすく書きます。

 

1共謀罪の対象者

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「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」の活動として2人以上で遂行を計画した者。

つまりテロや暴力など組織関係の事件を引き起こそうと2人以上で企んだら、対象となるということです。

 

2適用条件

その計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたとき

 

計画を立てて、そのための準備をした段階で逮捕されます。

大切なのは、計画」段階では処罰の対象とならず

あくまで現場の下見や物品の購入、お金の調達が行われたときに罪になるということです。

 

国会で具体例が出たのは「凶器を買うお金を下ろした」「ハイジャックに向けて飛行機を予約した」「犯行現場を下見した」などでした。

 

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 政府の説明ではこの例は含まれませんが、解釈次第となります(後述)

 

 

3対象となる犯罪

対象となる犯罪は277と刑法はもちろん、森林法や郵便法、競馬法など様々なものに及びます。

但し、

 

一 別表第四に掲げる罪のうち、極刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮の刑が定められているもの 


二 別表第四に掲げる罪のうち、長期四年以上十年以下の懲役又は禁錮の刑が定められているもの 

 

など重大な犯罪に限ります。

つまりそもそも懲役4年以上にならないような犯罪には適用されないということです。

  

4なぜ導入されたのか?

以下、政府の説明です。

平成12年11月,国連総会で,一層効果的に国際的な組織犯罪を防止し,及びこれと戦うための協力を促進することを目的とする「国際組織犯罪防止条約」が採択されました。この条約は,昨年9月に発効しており,我が国としても,早期に加入することが重要です。


この条約は,国際組織犯罪対策上,共謀罪などの犯罪化(注)を条約加入の条件としています。しかし,我が国の現行法上の罰則には組織的な犯罪集団が関与する重大な犯罪の共謀行為を処罰する罪がないので,「組織的な犯罪の共謀罪」を新設する必要があるのです。

法務省:組織的な犯罪の共謀罪に関するQ&A

 

つまり、2020年のオリンピック開催に向けて、

国際組織犯罪防止条約に締結するために、

日本国内での法整備が必要だったから、というのが公式の説明。

 

国際組織犯罪防止条約って?

主にマフィアによる薬物や銃の犯罪などの取り締まりが目的とされるもので、

日本は2000年に署名し、2003年に国会で承認していますが、締結・批准はしていません。

 

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 出典:産経ニュース

パレルモ条約に加盟すれば、捜査共助や犯罪人引き渡しの条約を結んでいない国に対しても捜査協力を依頼できるようになるというメリットがあります。

 

 

2共謀罪の何が問題なの?問題点を分かりやすく

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出典:朝日新聞

 

ここまで聞くと、そこまで悪いものにも思えない共謀罪。

 あくまで懲役4年以上の犯罪に対して、その計画をしようと準備した段階で逮捕されるだけなら、一般人には関係ないのでは?

 と考えてしまいます。

 

これは画像の菅官房長官の答弁の通りです。

 

しかし、大きな問題をはらんでいて、それが有識者による反対の大きな理由になっているのです。

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問題点その1 何がテロ組織か、あるいは準備行為となるかは、まずは捜査当局の判断による

 上述の犯罪の準備行為ですが、

何が準備なのか、テロ組織なのかは警察が判断します。

 

 もともと正当な活動を行っていた団体についても、団体の結合の目的が犯罪を実行することにある団体に一変したと認められる場合には、組織的犯罪集団に当たり得ることとするのが適当であるものと考えている」
(法務省の見解 2017年2月)

 

ある2人が「あくまで冗談(ドッキリ)のつもりで」とある人物に何か過激なことを企んでいることを周囲に漏らします(本当に実行する気はありません)。

 

警察はそれを盗聴しますが、ドッキリかどうかは分かりませんので、「計画」として認識します。

 

その仲間の一人がコンビニでハサミを買ったとしたら、

その時点で「こいつはハサミで犯罪する気だ!」と警察が判断すれば、捕まるということです。

ハサミがたとえ別の目的で使うつもりだったとしてもです。

 

これは極端な例ですが、

組織・準備行為を警察が判断する、というのはそれだけ危険なことだと言えます。

 

金田法相は「テロと花見の区別はどうするのか?」という問いに、

「花見ならビールや弁当を持っている。テロなら双眼鏡やメモ帳、地図を持っているはずだ。それで区別できる。」

と回答をしました。

「バードウォッチングはどうなんだ!」と突っ込まれ、何も言えなかった金田法相。

それくらいあいまいな判断にまかせられる、ということです。

 

そして野党含め、有識者が指摘するのは、一般の市民団体や労働組合など、組合も対象になりうる、という点です。

現在、沖縄での移設反対や成田空港反対など、市民団体は数多く存在します。

安保法反対や今回の共謀罪反対デモも同じです。

これらももし、「団体の結合の目的が犯罪を実行することにある団体に一変したと認められる場合には」と判断されれば、即逮捕となります。

 

これに委縮した結果、抗議の場や参加する人々が減っていく・・・という可能性もなきにしもあらずです。

 

問題点その2 えん罪が増える

共謀罪では、「最初から」人を疑い、「犯罪者」として監視するという論法です。

 

何が悪いの?(。´・ω・)?

と思ってしまいますが、こういった捜査は必ず「えん罪」を生みます

 

要はえん罪の可能性が高くなる、というのが一番の問題です。

 

日本では「推定無罪(容疑者であっても無罪であると推定し、証拠があってはじめて罪を問われる)」という法倫理が働いていますが、これと真っ向から対立する考えとも言えます。


 
これまでは、たとえ実行に着手した犯罪であっても自らの意思で中止すれば、中止未遂として刑を減免してきました。

 

たとえ、犯罪を起こそうと計画していても、その直前で「やっぱりよくないことだ」と

考え直せば、罪に問われることはなかった(あるいは減免)のです。

 

しかし、共謀罪ができた以上、今後はそれが通用せず、

「マイノリティーリポート」の映画でもあったような、

まだ「実行していないのに」罪に問われる社会となってしまいます。

 

これに関しては、良い面も悪い面もあるので一概には言えませんが、怖いのは次のことです。

 

問題点その3 監視社会になる

金田法務大臣は、共謀(計画)の手段は問わない、SNSもありうると言っていますので、フェイスブックの「いいね!」やLINEでは「既読スルー」、ツイッターも含めて手段を選びません

「いいね!」は積極的に同意していますが、問題は「既読スルー」の方だと思います。見たけれど何も異論を唱えなかった、これがまさに「黙示の共謀」です。「既読だけでそのままスルーしたら「黙示の共謀」が成立すると判断されます。


山本幸夫弁護士(日弁連・共謀罪法案対策本部事務局長

 

共謀罪の「計画」は、電話や対面はもちろん、SNSにも及びます。

Twitterやライン、フェイスブックで

 

A「俺テロしようと思うんだ(笑)」

B「www」

C「いいねw」

D「・・・(既読スルー)」

 

 

などと、冗談っぽく話していても、

政府の見解ではこれは既に「計画」に入ります(Dも含まれる)。

 

このうち、DがA,B,Cが犯罪を計画していた、と「告発」すれば彼らは警察にマークされ、さらに「準備行為」と警察が判断すれば、逮捕されるということです。

 

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 そして、こういった情報を集めるために、必要不可欠なのが「監視」です。

共謀罪の捜査は,会話,電話,メールなど人の意思を表明する手段を収集することになります。そのため,捜査機関の恣意的な検挙が行われたり,日常的に市民のプライバシーに立ち入って監視したりするような捜査がなされるようになる可能性があります。私たちが、共謀罪は監視社会をもたらすと批判しているのは、そのような意味なのです。引用:海渡雄一氏

 

 つまり、政府や警察が日常的にプライバシーを侵害することを認めていく(今後法整備がさらに進む)ということになります。

 

問題点その4 本当に恐ろしいのは「今」ではない! あいまいさの怖いところとは。

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 これが一番問題なのですが、

政府は現在、

「一般人が捜査の対象になることはない」

 と答弁しています(金田法相他)。

 

組織的詐欺事犯,暴力団の縄張り獲得のための暴力事犯の共謀等,組織的な犯罪集団が関与する重大な犯罪の共謀行為に限り処罰することとされていますので,国民の一般的な社会生活上の行為が本罪に当たることはあり得ません。

 

団体の活動や縄張りとは無関係に,個人的に同僚や友人と犯罪実行を合意しても,本罪は成立しません)。

 

出典:法務省:組織的な犯罪の共謀罪に関するQ&A

 

 しかし、さきほど述べたように、問題なのは「何が組織(団体)なのか、何が準備行為なのか」という成立要件が非常にあいまいであり、

「一般人」という定義が非常にあやふやだということです。

 

そして戦後作られた憲法9条の解釈を見ても、

60年前と今ではまるで変わってきているように、

(かつては集団的自衛権は認めていない)

 

今後、政府の見解次第でここはどうとでも変えられるということです

安倍首相含めて、今の政権は本当にテロを行おうとする集団を対象としている(と思われます)。

 

しかし、この先どうなるかまったくわからず、

日本でなんらかのテロが発生すれば、さらに条件を厳しく、

どんどん監視が強化されていく、という展開になりうるという点が恐ろしいのです。

 

これはかつての治安維持法にも当てはまります。

 

3かつての治安維持法との違いは?

 

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出典:朝日新聞

 

これはかつての治安維持法と今回の共謀罪での答弁を示した図です。

「決して思想に立ち入ることはない」と言っていたかつての政府。

どうなったのかは、周知のとおりだと思います。

 

非常に論法が似ていて驚きました。

 

ただし、治安維持法と決定的に違う点もあります。

 

治安維持法とは、国体の変革と私有財産制度を否定することを目的とする結社を取り締まることを目的として1925年に制定された法律でした。


要は、天皇制に反対する組織や共産主義に走る政治的組織を取り締まるものだったのです。

つまり、「思想」を取り締まる法律だったということ。

 

これが、共謀罪とは目的が違う点。

 

しかし、実態としては、共産主義とは全く関係のない大本教に治安維持法が適用され、教義の中に天皇制と矛盾する部分があることから「国体変革」結社と見なされたり、

その適用範囲はどんどん拡大していきました。

 

この適用範囲の拡大、という恐ろしい点を含んでいるのが両者に共通することです。

 

4アメリカやイギリスなど諸外国ではどうなっているのか?

 

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アメリカやイギリスなど諸外国でも共謀罪と呼ばれるものはあります。

日本はそういう意味では遅いとも言えるかもしれません。

 

 

ただ、有識者の中には、

アメリカやイギリスは共謀罪で実際にテロが防げているのか?否。

最近のテロをみてほしい」

という意見もあり、

「NSAがアメリカ国民全てを監視しているのは既に周知のことだが、それが日本でも始まる」

と危惧しています。

 

一方、「もしこれがなかったら、もっとテロが頻発してるだろう」という意見もあり、一概に良い、悪いを言えないというのも実情です。

 

 

5共謀罪のメリットとは?賛成派の意見

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これまで「問題点」としてデメリットを多く書いてきましたが、

もちろんメリットもあります。

 

それは第一に警察が監視しやすくなることによって、「計画をしよう」とする人間が減りうること。

 

これは計画・準備手段の制限にもつながります。

以下、賛成派の意見をご紹介します。

 

911が防げなくとも防げた事件は多数あるだろうし(欧米のニュースだとよく見全で防いだ話がある)、そういう事をするにはテロリストの構成員への警察の裁量は広い方がいい。

 

最初は見せしめに、ヤクザもんや半ぐれあたりで運用試すだろうが、本命は有事見越し

て北朝鮮の朝鮮総連だとか、民進党の支持母体の市民の皮被った過激派やら、暴力革命な共産党に対する圧力だしw

 

 悪いことをしない人間にとっては、防犯カメラなど怖くない。
いま進められている個人ナンバー制度も、悪いことをしていない人間にとっては何の恐怖感もない。
その利便性を高く評価している筈だ

 

共謀罪は治安維持法と一緒だという人がいる。でも、違うと思う。

治安維持法では、思想が思想として弾圧された。共謀罪では、思想が、破廉恥な犯罪として弾圧される。そしてじきに、異質な思想が破廉恥な犯罪になる。

形式的に民主的な時代の「非国民」識別メカニズム。騙されないようにせねば。

 

 

少なくとも、詐欺集団や本当にテロや暴力行為をしようと企てている集団にとっては、

これは大きな足かせになるでしょう。

 

その効果が共謀罪によるデメリットと比べてどの程度のものなのかは、実際に運用されないと分かりません。

  6共謀罪反対派の意見(有識者含む)

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国際政治学者である三浦瑠璃さんの意見から。

「国際社会から見ると、日本はテロへの危機意識が薄い。イスラエルではホテルに入ってくる車を金属探知機で調べるのが当たり前。日本でもソフトターゲットを守るには警備能力の強化が欠かせない。でも、それは(共謀罪)法案とはなんの関係もありません。(中略)好ましくない事態が起きるおそれは否定できません」

 

これは私も思うところです。

テロを本当に防ぎたいのであれば、

現在のゆるゆるな警備体制こそ問題な気がします。

 

イギリスのテロでも容疑者はyoutubeのISISの動画を食い入るように見ていたと言います。

 

ISISの宣伝・勧誘動画は放置され、一般人を監視する――。

 

全てを規制しろ、とは言いません。

しかし、本当に「共謀罪」は必要か?その前にもっとやることはあるのではないか?という気がします。

 

他、反対派の意見もご紹介します。

 

安倍さんが共謀罪に固執している目的も、最初はテロ対策なんて言っておいて、結局は条文案から削ってしまった。大嘘だった。本当の目的は自分たちにとって都合の悪い集会やデモ、話し合いを一切させないこと。その対象はテロリストではなく、“政権に逆らう人”なんだよね。―室井佑月氏

 

 

 

法案の内容もひどいが、手続きが異常。必要性もなく委員会の審議を打ち切るのは、議会制民主主義の否定だ

 

 

 

 

 

 

共謀罪の一番の問題は、

「定義があいまいであり、なおかつ審議も不十分なまま採決されたこと」

にある、と思います。

 

賛成多数で可決されたからといって、

ここで議論をやめることなく、

テレビ含め、メディアでも今後とも取り上げてほしいと思う次第です。